|
1. |
|
|
|
|
何度目の夏 何度目の繰り返し
何度着た白いシャツ
ハッとして今 やってきたあの町から
省みた手のひら 白 白
流れ着いた日の声も 重ね合った一呼吸と
混ざり溶けていく
潤み切った思い出も 潮の引いた輪の外へ
掠れて消える
何度目の夏 何度目の繰り返し
何度見た赤い世界
ハッとした時 やってきたあの言葉で
省みた手のひら 白 白
失っては最初に出戻り その度に読み込むフィロソフィー
嘘本当の間で跨る 揺れる線路
でも本当の答えを知るまで その温度の笑顔を見させて
凪に帰るまで
|
|
2. |
|
|
|
|
晴れ時々風を待つ駅前の中学生
影を点で飛ばして ふわり翻るポリエチレン
じわじわ湿っていく タバコの詰まった排水溝
バラバラになったら 僕はここだって居ないだろう
夕日が差し込むマンションの窓辺
優しさに染められた僕の前で
硬い殻弾け瞬いた後で
響く鉄筋とマキロンの香り
いつからか何かが痛みになって
返し刄が抜けずに傷だけ重ね
片足から向こうがそう気になって
甘い光に導かれて今抜け出したい
行方も知らぬ鳥に
生まれ変わって上へ飛行
夢見る僕のことも
忘れる日が暮れる
夕日が差し込むマンションの窓辺
優しさに染められた僕の前で
硬い殻弾け瞬いた後で
響く鉄筋とマキロンの香り
いつからか何かが痛みになって
返し刄が抜けずに傷だけ重ね
片足から向こうがそう気になって
甘い光に導かれて今抜け出した
|
|
3. |
|
|
|
|
寄せるテロ 波の鼓動
うねる 幼いゲノムの根
森 揺れ 虫 果てる
山 谷 墓
殻割り 肉 芽吹く
街 人 墓
淀み溢れた全て
七日の火で禊げ
|
|
4. |
|
|
|
|
見つめあって
混じりあって
ぬるくなった腕の中で
夏の夢を見よう
朝の日差しを受け
光る真珠の影を
手で掬って擦ったら
言葉はもういらない
見つめあって
混じりあって
ぬるくなった腕の中で
夏の夢を見よう
一つ前の波はもう撓んで
許せる
一里先の岸が孤に見えて
泳げるはず
見つめあって
混じりあって
ぬるくなった腕の中で
夏の夢を見よう
重ねあって
笑いあって
結び合った二人僕ら
明日の夢を見る
|
|
5. |
|
|
|
|
剥がれた未来を
数えて日が暮れる
求めた楔は
ただのアイ
剥がれた未来を
数えて日が暮れる
求めた楔は
ただのアイ
明日の羽さえも
閉じては木に留まる
拗れた寝相で
目を覚ます
裸足になって 吸っては吐いて
浮き上がる僕ら
羅線を描いて 血膿を切って
まだ祈らない
剥がれた未来は
掠れて血に溶ける
求めた楔は
ただのアイ
剥がれた未来を
数えて思い出す
求めた楔は
ただのアイ
明日の羽さえも
閉じてはまた開く
拗れた寝相で
目を覚ます
|